どこから来たの?
と、物静かな横顔に聞いてみた。
ある日の夕方。
出かけた近所の河川敷。
オレンジの夕日を浴び、悠然と佇む珍しい姿があった。
私にとっては昔懐かしい顔。
向こうにとっては初対面。
別に人見知りしているわけでもないだろうけれど、
彼、もしくは彼女は何も言わずジッと川辺を見つめていた。
問いかける私に目もくれない。
だから私は勝手に横に腰かけ、横顔を眺める事にした。
最後に触れたのは、見たのは何年前だろう?
懐かしさを覚える小さな小さな姿。
昔の記憶にあるその姿は今よりずっと大きかったのに。
私の前に現れたソレは小さく見える。
もちろん私が大きくなったから。
懐かしくもあり、寂しくもあり、嬉しくもある、なんとも不思議な出会い。
「どこから来たの?」
私はもう一度問うてみた。
けれど彼、彼女はやっぱり何も言わない。
水面に映る沈み逝く太陽の姿を眺めながら。
一日の終わりをただただ、見守っているようだった。
たまにはこんな物語風に。
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